資料、見積書、契約書、メール文面などを扱うビジネスシーンでは、「修正」という言葉を使う機会が多くあります。
しかし、相手に直してもらう場面、自分が直す場面、修正済みの内容を伝える場面では、適した敬語が異なります。
「ご修正ください」だけで済ませると、依頼の強さや責任の所在が曖昧になることもあるでしょう。
この記事では、「修正」の尊敬語、丁寧語、謙譲語の考え方から、ビジネスメールで使える例文、自然な言い換え表現まで詳しく解説します。
「修正」の敬語の一覧表

それではまず、「修正」の敬語の使い分けについて解説していきます。
結論からいうと、相手の行為には「ご修正いただく」「ご修正くださる」、自分の行為には「修正いたします」「修正させていただきます」を用いると、丁寧で自然な印象になります。
尊敬語と丁寧な依頼表現
尊敬語は、取引先、上司、顧客など、敬意を示すべき相手が修正する行為に使います。
「修正する」そのものに特別な尊敬語があるわけではないため、「ご」を付けたうえで、「くださる」「いただく」などの補助動詞を組み合わせる考え方が基本です。
| 場面 | 自然な表現 | 伝わるニュアンス |
|---|---|---|
| 相手に修正を依頼する場面 | ご修正いただけますでしょうか | 丁寧に依頼する表現 |
| 急ぎで確認をお願いする場面 | お手数ですが、ご修正をお願いいたします | 事務的で柔らかい依頼 |
| 修正してもらった場面 | ご修正いただき、ありがとうございます | 相手への感謝 |
| 相手の修正作業を述べる場面 | ご修正くださった内容を確認いたしました | 相手の行為を立てる表現 |
| 再修正を依頼する場面 | 恐れ入りますが、再度ご修正をご検討いただけますでしょうか | 負担に配慮した依頼 |
「ご修正いただく」は、相手の行為への敬意と、自分が恩恵を受ける意味合いを両立しやすい表現です。
ただし、社内の同僚や気心の知れた相手に毎回使うと、少し距離を感じさせる場合もあります。
相手との関係性やメール全体の硬さに合わせて選ぶことが大切です。
謙譲語と自分の修正表現
自分側が資料や文章を直す場合は、「修正いたします」がもっとも幅広く使えます。
「修正させていただきます」も誤りではありませんが、相手の許可や配慮によって行う意味が含まれます。
単に自分の担当業務として直すだけなら、「修正いたします」のほうが簡潔で好印象でしょう。
| 表現 | 適した状況 | 注意点 |
|---|---|---|
| 修正いたします | 自分が対応することを伝える場面 | もっとも標準的な表現 |
| 修正のうえ、再送いたします | ファイルやメールを改めて送る場面 | 対応後の流れまで明確 |
| 修正させていただきます | 相手の了承を得て変更する場面 | 許可が前提でない場合は多用しない |
| 訂正いたします | 誤記や数値の誤りを正す場面 | 内容の変更より誤りの是正に向く |
| 見直しいたします | 改善のために全体を確認する場面 | 修正するとは限らない |
自分が行う作業には「ご修正いたします」とせず、「修正いたします」を使います。
「ご」は基本的に相手の行為や相手に関係する事柄へ添えるため、自分の行為に付けると不自然になりやすいためです。
丁寧語と敬語の組み合わせ
「修正します」は丁寧語として間違いではありませんが、社外メールでは少し簡素に聞こえることがあります。
取引先や目上の方には、「修正いたします」「修正いたしました」「ご修正いただけますでしょうか」などを基本にすると安心です。
一方で、敬語を重ねすぎると読みにくくなります。
相手に依頼する場合の例文です。
恐れ入りますが、添付資料の該当箇所について、ご修正いただけますでしょうか。
このように、依頼の前に「恐れ入りますが」「お手数をおかけしますが」を添えると、指示のような印象を和らげられます。
敬語は長くすることよりも、誰が修正するのかを誤解なく伝えることが重要です。
ビジネスメールにおける「修正」の使い方
続いては、ビジネスメールでの「修正」の使い方を確認していきます。
メールでは修正対象、担当者、期限、再送の有無を整理して書くと、相手がすぐに対応しやすくなります。
相手へ修正を依頼する文章
相手に修正をお願いするときは、いきなり変更点だけを書くより、確認へのお礼や依頼への配慮を添えると円滑です。
特に相手が取引先の場合は、修正箇所を具体的に示し、判断が必要な部分と単純な誤記を分けて書くと親切でしょう。
件名 お見積書のご修正のお願い
お送りいただいたお見積書を確認いたしました。
恐れ入りますが、納品予定日の記載について、ご修正いただけますでしょうか。
お手数をおかけしますが、何卒よろしくお願いいたします。
「ご修正のお願い」という件名は、メールの目的がひと目で伝わるため実務で使いやすい表現です。
修正箇所が複数ある場合は、本文中で項目ごとに分け、曖昧な指示を避けましょう。
「適宜修正してください」では判断に迷わせるため、「会社名を正式名称へ変更してください」のように記載することが重要です。
自分が修正を報告する文章
自分が修正したことを伝えるメールでは、対応済みであることと、相手に確認してほしい範囲を明確にします。
謝罪が必要な誤りなら、修正報告の前に簡潔なお詫びを入れると誠実な印象になります。
ご指摘いただいた箇所を修正いたしました。
修正版の資料を添付しておりますので、お手数ですがご確認いただけますと幸いです。
「修正しました」でも意味は通じますが、「修正いたしました」にすると社外向けの文面として整います。
添付資料を送る場合は、「修正版」「差し替え後のファイル」など、受信者が迷わない名称も意識したいところです。
修正後の確認を依頼する場合は、「ご確認ください」より「ご確認いただけますと幸いです」のほうが柔らかく伝わります。
再修正や修正期限を伝える文章
再修正をお願いする場面では、相手の作業が増えることへの配慮が必要です。
また、締切を伝えるときは一方的な命令に見えないよう、理由と希望日時を簡潔に添えるとよいでしょう。
たとえば、「恐れ入りますが、明日の会議資料として使用するため、本日中にご修正いただけますでしょうか」と書けば、期限の背景も伝わります。
「至急修正してください」は緊急性は伝わるものの、相手によっては強い要求と受け取られる可能性があります。
期限を示すときは、単に急かすのではなく、修正が必要な理由を添えることが大切です。
相手が優先順位を判断しやすくなり、やり取りの行き違いも減らせます。
尊敬語、謙譲語、丁寧語の使い分け
続いては、尊敬語、謙譲語、丁寧語の違いを確認していきます。
「修正」の敬語を自然に使うには、言葉の形だけでなく、行為者が誰かを先に考えることがポイントです。
相手が行為者となる場合
取引先や上司が修正する場合は、相手を立てる尊敬語の考え方を用います。
「ご修正くださる」「ご修正いただく」は代表的な表現ですが、文の主語によって使い分けます。
相手を主語にするなら、「ご修正くださり、ありがとうございます」が自然です。
自分を主語にして恩恵を受けたことを述べるなら、「ご修正いただき、ありがとうございます」となります。
どちらも丁寧ですが、「くださる」は相手側に焦点があり、「いただく」は自分側の受け取りに焦点があります。
迷ったときは、メール全体の主語を見直すと選びやすくなるでしょう。
自分や自社が行為者となる場合
自分、自社、部下などが修正する場合は、へりくだる謙譲表現として「修正いたします」を使います。
自社の行為を過度に敬う「ご修正いたします」は避けたほうが無難です。
また、「弊社にて修正させていただきます」は、先方の承諾が必要なデザイン変更や仕様変更などには合います。
ただし、社内の確認ミスを直すだけなら、「弊社にて修正いたします」で十分です。
「させていただく」は便利な表現ですが、相手の許可や恩恵が想定できる場面に絞ると、文章がすっきりします。
名詞としての「ご修正」
「修正」は名詞でもあるため、「ご修正内容」「ご修正箇所」「ご修正後の資料」のように使えます。
この場合の「ご」は、相手が行った修正や、相手に依頼する修正に敬意を添える役割です。
| 表現 | 自然さ | 使い方の目安 |
|---|---|---|
| ご修正内容 | 自然 | 相手が変更した内容を確認する場面 |
| ご修正箇所 | 自然 | 相手へ変更を依頼する箇所を示す場面 |
| 修正内容 | 自然 | 自分側の対応内容を伝える場面 |
| ご修正いたします | 不自然になりやすい | 自分の行為には通常使わない |
| 修正を賜ります | 硬すぎる場合がある | 一般的なメールでは避ける |
名詞に「ご」を付けるか迷ったときは、その修正が誰の行為として扱われるかを考えると判断しやすくなります。
「修正」の言い換え表現
続いては、「修正」の言い換え表現を確認していきます。
修正という言葉は便利ですが、誤りを正すのか、内容を改善するのか、変更するのかによって適語は異なります。
誤りを正す場面の表現
誤字、誤記、金額、日付など、明確な間違いを正すときは「訂正」が適しています。
「訂正いたします」は、誤りがあったことを認めて正すニュアンスがあるため、請求書や案内文の誤記連絡にも使いやすい表現です。
一方で、文章の表現をよりよく整えるような変更には、「訂正」より「修正」や「見直し」のほうが合うでしょう。
先ほどお送りした資料に誤記がございました。
該当箇所を訂正し、改めて送付いたします。
誤りの是正には「訂正」、内容の一部変更には「修正」を選ぶと、状況が正確に伝わります。
内容を変える場面の表現
仕様、条件、日程、金額などを変更するときは、「変更」が分かりやすい言葉です。
修正は細かな調整にも使えますが、変更は以前と異なる内容へ改める意味合いが強くなります。
たとえば、納期を一週間後ろへ動かす場合は、「納期を修正する」より「納期を変更する」のほうが明瞭です。
契約内容に関わる変更では、口頭連絡だけで済ませず、対象項目と変更後の内容を書面やメールで残すことも重要です。
「修正」と「変更」を使い分けると、相手は対応の重要度を判断しやすくなります。
軽微な表記調整か、条件そのものの変更かを意識して選びましょう。
改善や確認を目的とする表現
完成度を高める目的で内容を確認する場合は、「見直し」「調整」「改訂」「ブラッシュアップ」などが使えます。
「見直しいたします」は、問題があると断定せずに確認する柔らかな表現です。
「調整いたします」は、複数の条件や関係者の都合を整える場面に向いています。
| 言い換え表現 | 主な意味 | 使用例 |
|---|---|---|
| 訂正 | 誤りを正すこと | 記載内容を訂正いたします |
| 変更 | 内容を別のものへ改めること | 日程を変更いたします |
| 見直し | 確認して改善を検討すること | 資料全体を見直しいたします |
| 調整 | 条件や内容を整えること | 表現を調整いたします |
| 改訂 | 文書や規程を改めること | 規程を改訂いたします |
相手に伝えたい作業の実態に合う言葉を選ぶことが、誤解のないビジネスコミュニケーションにつながります。
状況別のビジネスメール例文
続いては、状況別のビジネスメール例文を確認していきます。
定型文をそのまま送るのではなく、修正対象や関係性に合わせて一部を調整すると、より自然なメールになります。
取引先へ修正をお願いする例文
取引先へ依頼する場合は、確認した事実、修正してほしい箇所、依頼の言葉を順序よく記載します。
添付ファイルや資料のページ番号も添えると、相手の負担を減らせます。
お送りいただいた企画書を拝見いたしました。
恐れ入りますが、二ページ目の担当者名について、弊社からお伝えした表記へご修正いただけますでしょうか。
お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
この例文では、命令的な「修正してください」を避けながら、依頼内容を具体的に伝えています。
修正依頼では、相手が探す手間をなくすために、ページ、項目、変更後の文言を示すことが実務上の配慮です。
上司へ修正済み資料を送る例文
上司へ修正済みの資料を送るときは、どの指摘に対応したかを簡潔に報告します。
すべての作業を細かく説明するより、確認してほしい点を絞ると読みやすくなります。
ご指摘いただいた内容を反映し、資料を修正いたしました。
特に市場規模の数値および今後のスケジュールを見直しております。
お手数ですが、添付ファイルをご確認いただけますと幸いです。
「ご指摘いただいた内容を反映し」と書くことで、上司の助言を受け止めて対応したことが伝わります。
誤送信後に訂正する例文
誤ったファイルや内容を送ってしまった場合は、言い訳を長く書かず、謝罪、誤りの内容、正しい対応を簡潔に伝えます。
相手がどの情報を正しいものとして扱うべきか、明確にすることが最優先です。
先ほどお送りしたメールに誤りがございました。
添付した見積書の金額に誤記があったため、訂正版を改めてお送りいたします。
ご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございません。
訂正メールでは、誤りの詳細を必要以上に広げず、相手に必要な正しい情報を確実に届けることが大切です。
「修正」の敬語のまとめ
「修正」の敬語は、誰が修正するのかによって使い分けます。
相手に依頼する場合は「ご修正いただけますでしょうか」「ご修正をお願いいたします」が自然です。
相手が修正してくれたことには、「ご修正いただき、ありがとうございます」「ご修正くださり、ありがとうございます」を使えます。
自分が対応する場合は、「修正いたします」「修正のうえ再送いたします」を選ぶと、丁寧で分かりやすい印象になります。
誤りを正すなら「訂正」、条件そのものを変えるなら「変更」、全体を確認するなら「見直し」と言い換えると、作業内容がより正確に伝わるでしょう。
敬語表現の正しさだけでなく、修正箇所、期限、対応後の確認方法まで具体的に示すことが、信頼されるビジネスメールへの近道です。