「休む」は日常的に使う言葉ですが、仕事の連絡では相手や場面に応じた敬語表現を選ぶ必要があります。
上司の休暇を伝える場合、自分の欠勤を報告する場合、取引先へ不在を案内する場合では、自然な言い回しが異なるためです。
特にメールでは表情や声の調子が伝わらず、ひと言の選び方が相手の印象を左右します。
この記事では、「休む」の尊敬語、丁寧語、謙譲語を整理したうえで、ビジネスメールで使える例文や言い換え表現を詳しく紹介します。
「休む」の敬語一覧表

それではまず「休む」の敬語一覧表について解説していきます。
尊敬語と丁寧語と謙譲語の基本整理
「休む」を敬語にする際は、誰が休むのかを最初に見極めることが大切です。
上司や取引先など、敬意を示す相手の行動には尊敬語を用います。
自分や自社の人間の行動を相手に伝えるときは、へりくだった表現である謙譲語、または丁寧な表現を選ぶのが基本です。
| 区分 | 主な表現 | 使う相手 | 使用例 |
|---|---|---|---|
| 尊敬語 | お休みになる | 上司、顧客、取引先 | 部長は本日お休みになっております。 |
| 尊敬語 | 休暇を取られる | 上司、顧客、取引先 | 社長は来週休暇を取られます。 |
| 丁寧語 | 休みます | 一般的な連絡相手 | 明日は私用のため休みます。 |
| 丁寧語 | 休ませていただきます | 許可を得る相手 | 午後は通院のため休ませていただきます。 |
| 謙譲表現 | 休暇を頂戴します | 上司、関係者 | 来週一日休暇を頂戴します。 |
| 謙譲表現 | 不在にしております | 取引先、顧客 | 担当者は本日不在にしております。 |
「休ませていただく」は便利な表現ですが、いつでも使えば丁寧になるわけではありません。
相手の許可や配慮によって休む意味合いがある場合に用いると、違和感を避けられるでしょう。
相手が休む場合の敬語表現
上司や顧客が休むことを表すときは、「お休みになる」がもっとも基本的で使いやすい尊敬語です。
「休まれる」も尊敬語として成り立ちますが、日常のビジネスメールでは「お休みになる」のほうが柔らかく伝わります。
取引先へ上司の不在を伝えるときは、「部長は休んでいます」ではなく「部長は本日お休みを頂戴しております」または「部長は本日不在にしております」と表現します。
| 伝えたい内容 | 適した表現 | 避けたい表現 |
|---|---|---|
| 上司が休み | 課長は本日お休みになっております。 | 課長は今日休んでいます。 |
| 顧客が休暇中 | ご担当者様は休暇を取られているとうかがっております。 | ご担当者様は休みです。 |
| 相手に休養を勧める | どうぞごゆっくりお休みください。 | しっかり休んでください。 |
| 役員が不在 | 社長は休暇のため不在にしております。 | 社長は休みを取っています。 |
社外の相手に自社の上司の不在を知らせる場合は、「お休みになっております」よりも「不在にしております」が適する場面もあります。
休暇の詳細を伝える必要がない場合は、不在という事実に絞ることで、相手の個人情報にも配慮できます。
自分が休む場合の敬語表現
自分の欠勤や休暇を伝える場合、「お休みになります」は尊敬語なので使いません。
「休みます」「休暇を頂戴します」「休ませていただきます」などを、連絡の目的に合わせて選びます。
自分が休む連絡の基本例です。
明日、私用のため休暇を頂戴します。
ご迷惑をおかけしますが、何卒よろしくお願いいたします。
休暇を取得する権利が社内規程で定められている場合でも、関係者への連絡では簡潔な配慮を添えることが重要です。
休む理由は必要以上に詳しく書かず、業務への影響と対応予定を明確にすると、相手が状況を把握しやすくなります。
ビジネスメールでの使い方
続いてはビジネスメールでの使い方を確認していきます。
欠勤を連絡するメールの構成
急な体調不良で休む場合は、始業時刻より前に連絡することが原則です。
メールだけで済ませてよいかは会社のルールによるため、電話連絡が必要な職場では指示に従いましょう。
本文では、欠勤する事実、理由の概要、引き継ぎの有無、連絡が取れる時間帯を順番に示すと伝わりやすくなります。
件名 【本日欠勤のご連絡】営業部 山田
おはようございます。
体調不良のため、本日は休ませていただきます。
急なご連絡となり申し訳ございません。
担当中の案件については、必要事項を共有フォルダに記載しております。
ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします。
病名や症状を細かく報告する必要は、通常ありません。
「体調不良のため」「通院のため」「私用のため」など、業務連絡として必要な範囲にとどめることが適切です。
休暇を事前申請するメールの表現
事前に休暇を申請する際は、休む日付と業務対応を明記します。
繁忙期や会議の日程に重なる場合は、早めに相談する姿勢も欠かせません。
「休ませていただきたいです」より、「休暇を取得したく存じます」や「休暇を頂戴したく存じます」のほうが、申請文として整います。
お疲れ様です。
私用のため、九月十二日に休暇を頂戴したく、ご連絡いたしました。
当日の定例業務は前日までに対応し、緊急案件は佐藤さんへ引き継ぐ予定です。
ご確認のほど、よろしくお願いいたします。
「頂戴する」は自分が休暇を受け取ることをへりくだって表す言い方です。
一方で、休暇の申請がすでに承認されている場合は、「休暇を取得いたします」と事実を伝える表現でも問題ありません。
代理で不在を案内するメールの書き方
担当者に代わって取引先へ連絡する場合は、本人が休んでいることを直接的に述べすぎない配慮も求められます。
「本日不在にしております」「休暇をいただいております」といった表現を使い、代替窓口や返信予定を案内しましょう。
不在の案内では、休む理由を社外へ伝えないことが基本です。
病気、家庭事情、休暇の目的などは個人情報に関わるため、本人の了承がない限り記載を避けます。
担当者は本日不在にしております。
お急ぎの場合は、私が内容を承りますので、お気軽にお申し付けください。
明日以降に本人からご連絡を差し上げる予定です。
このように、相手を待たせない対応策を添えることで、丁寧で信頼されるメールになります。
場面別の例文集
続いては場面別の例文集を確認していきます。
上司へ当日欠勤を伝える例文
上司への欠勤連絡は、結論を先に伝えることが大切です。
連絡が遅くなるほどチームの調整に影響するため、長い説明よりも迅速で正確な報告を優先しましょう。
おはようございます。
恐縮ですが、体調不良のため本日は休ませていただきます。
午後までに回復状況を確認し、明日の出勤について改めてご連絡いたします。
ご迷惑をおかけし申し訳ございません。
「申し訳ありませんが休みます」だけで終えず、業務の連絡先や翌日以降の見通しを添えると、責任感のある印象につながります。
取引先へ担当者の不在を伝える例文
取引先から担当者宛てに連絡が入ったときは、不在の事情よりも次の対応を明確にします。
折り返しが可能な時期、代理対応の可否、緊急連絡先を整理して伝えると親切です。
お問い合わせいただき、ありがとうございます。
あいにく担当の鈴木は本日休暇を頂戴しており、不在にしております。
内容を確認のうえ、明日以降に鈴木よりご連絡いたします。
お急ぎの場合は私が承りますので、恐れ入りますが詳細をお知らせください。
「休暇を頂戴しており」は社内の人間について使う表現ですが、相手との関係性によっては「不在にしております」だけでも十分です。
相手を気遣う休養の例文
相手に休むよう勧める場合は、命令に聞こえない柔らかな表現を選びます。
特に目上の人や取引先へ「休んでください」と書くと、距離感によっては一方的な印象になることがあります。
| 場面 | 使いやすい例文 |
|---|---|
| 上司の体調を気遣う | どうぞご無理なさらず、ゆっくりお休みください。 |
| 取引先の療養を気遣う | ご快復を心よりお祈り申し上げます。くれぐれもご自愛ください。 |
| 同僚の休暇前 | 休暇中はどうぞごゆっくりお過ごしください。 |
| 繁忙後の相手をねぎらう | お忙しい日が続いたことと存じます。どうぞお身体をお休めください。 |
「ご自愛ください」は相手の健康を気遣う定番表現であり、休むことを直接指示せずに思いやりを伝えられます。
すでに病気と分かっている相手には「ご自愛ください」だけでなく、「一日も早いご快復をお祈り申し上げます」と添えると自然でしょう。
言い換え表現と使い分け
続いては言い換え表現と使い分けを確認していきます。
休暇と欠勤と不在の違い
「休む」の言い換えには、休暇、欠勤、不在、離席、療養などがあります。
それぞれ意味と受け取られ方が異なるため、状況に合う言葉を選ぶことが必要です。
| 言い換え | 主な意味 | 適した場面 |
|---|---|---|
| 休暇 | 計画的に仕事を休むこと | 有給休暇、夏季休暇、事前申請 |
| 欠勤 | 勤務日に出勤しないこと | 体調不良、急な事情、勤怠連絡 |
| 不在 | その場や勤務先にいないこと | 社外への電話、メール案内 |
| 離席 | 一時的に席を外していること | 電話応対、短時間の不在 |
| 療養 | 病気やけがを治すために休むこと | 長期休職、見舞い、復帰連絡 |
「欠勤」は事務的で直接的な言葉なので、社外向けの案内では「不在」のほうが穏やかに聞こえます。
一方、勤怠の報告や申請では、欠勤か休暇かを正確に区別することが重要です。
休養と静養と療養の使い分け
体調に関わる「休む」を表す際は、休養、静養、療養という語も使われます。
休養は疲労を回復するために休む意味が中心で、もっとも幅広く使える表現です。
静養は静かな環境で心身を休める意味合いがあり、目上の人への気遣いにも向いています。
療養は病気やけがの治療を目的とした休みを指すため、軽い疲れに対して使うと大げさに聞こえることがあります。
相手の病状を推測して「療養中です」と表現することは避け、本人や会社から公表された情報だけを使いましょう。
社外の案内では「しばらく不在にしております」「担当者は休暇をいただいております」など、必要最小限の表現にするのが安心です。
やわらかく伝えるクッション表現
休みの連絡では、結論の前後にクッション表現を加えると、唐突な印象を和らげられます。
ただし、前置きが長すぎると肝心の情報が埋もれるため、短く添えるのがポイントです。
| 目的 | クッション表現 | つなげる例 |
|---|---|---|
| 急な連絡への配慮 | 急なご連絡で恐縮ですが | 急なご連絡で恐縮ですが、本日は欠勤いたします。 |
| 迷惑への配慮 | ご迷惑をおかけしますが | ご迷惑をおかけしますが、休暇を頂戴いたします。 |
| 依頼を和らげる | 恐れ入りますが | 恐れ入りますが、代理対応をお願いいたします。 |
| 感謝を伝える | ご配慮いただきありがとうございます | ご配慮いただきありがとうございます。お休みを頂戴します。 |
謝意と必要な情報を一緒に伝えることで、休む側の一方的な印象を抑えられます。
ただし、過度に謝罪を重ねるよりも、引き継ぎや返信の予定を具体的に示すほうが実務では役立ちます。
敬語表現で避けたい注意点
続いては敬語表現で避けたい注意点を確認していきます。
「お休みさせていただく」の不自然さ
「お休みさせていただきます」は、敬語が重なって見えるため注意が必要です。
自分の行為に「お」を付けると、尊敬語のように聞こえる場合があります。
自分が休むときは「休ませていただきます」または「休暇を頂戴します」とするほうが自然です。
相手が休むときは「お休みになる」と表し、主語に合わせて使い分けます。
敬語は語尾だけを丁寧にするのではなく、行為者と相手の関係から組み立てることが基本です。
二重敬語と過剰敬語の注意
丁寧にしようとして「お休みになられます」と書くと、「お休みになる」と「れる」が重なり、過剰な表現になりやすいでしょう。
「お休みになります」も、相手の行動を表すなら「お休みになる」が適切です。
また、「休暇を取らせていただかれます」のような不自然な敬語の重なりは避けてください。
自然な表現 部長は明日お休みになります。
自然な表現 私は明日休暇を頂戴します。
避けたい表現 部長は明日お休みになられます。
避けたい表現 私は明日お休みになります。
相手への敬意は、言葉を重ねることで高まるとは限りません。
簡潔で正しい表現こそ、読み手にとって分かりやすい敬語になります。
理由と個人情報への配慮
休む理由を伝える際には、相手に必要な情報と個人情報を切り分ける必要があります。
社内の上司には一定の説明が必要な場合でも、取引先へ具体的な病名や家庭の事情を知らせる必要はありません。
「担当者は体調不良で寝込んでおります」といった書き方は、本人のプライバシーに配慮を欠くおそれがあります。
「担当者は本日不在にしております」「確認のうえ折り返します」で十分なケースがほとんどです。
不在理由よりも、誰が対応するか、いつ返信できるかを伝えることが、ビジネスメールでは優先されます。
まとめ
「休む」の敬語は、相手が休む場合には「お休みになる」、自分が休む場合には「休ませていただく」や「休暇を頂戴する」を使うのが基本です。
上司、取引先、同僚など、誰の行動を誰に伝えるのかによって、選ぶべき表現は変わります。
社外への連絡では「不在にしております」を活用し、休む理由を必要以上に明かさない配慮も大切です。
欠勤や休暇のメールでは、休む事実を早めに伝えたうえで、業務の引き継ぎ、代理対応、返信予定を簡潔に示しましょう。
正しい敬語と相手への配慮を組み合わせれば、休みの連絡であっても、信頼を損なわない丁寧なコミュニケーションにつながります。