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自由落下の運動エネルギーは?求め方と公式も!(位置エネルギーとの関係:力学的エネルギー保存則:速度との関係など)

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物体が落下するとき、エネルギーがどのように変化しているかを考えたことはあるでしょうか。高い位置にある物体は位置エネルギーを持っており、落下するにつれてそれが運動エネルギーに変換されていきます。

本記事では、自由落下における運動エネルギーの求め方と公式を詳しく解説し、位置エネルギーとの関係や力学的エネルギー保存則についても説明していきます。エネルギーの観点から運動を理解することで、物理への理解がさらに深まるでしょう。

それでは、自由落下の運動エネルギーについて順を追って見ていきましょう。

運動エネルギーとは何か

それではまず運動エネルギーとは何かについて解説していきます。

運動エネルギーの定義

運動エネルギーとは、物体が運動することによって持つエネルギーのことです。質量mの物体が速度vで運動しているとき、運動エネルギーKは K = (1/2)mv² という式で表されます。

この式から、運動エネルギーは質量に比例し、速度の2乗に比例することがわかります。つまり、速度が2倍になると運動エネルギーは4倍になるのです。

運動エネルギーの単位はジュール(J)であり、1J = 1kg·m²/s² となります。これは仕事やエネルギーの基本単位でしょう。

運動エネルギーの物理的意味

運動エネルギーは、物体を静止状態から速度vまで加速するのに必要な仕事の量を表しています。逆に言えば、運動している物体が静止するまでにできる仕事の量とも言えるでしょう。

例えば、走っている車には大きな運動エネルギーがあります。ブレーキをかけると、この運動エネルギーが摩擦によって熱エネルギーに変換され、車が停止するのです。

【運動エネルギーの公式】

K = (1/2)mv²

K:運動エネルギー(J)

m:質量(kg)

v:速度(m/s)

自由落下における運動エネルギーの変化

自由落下する物体の運動エネルギーは、時間とともに増加していきます。静止状態から落下を始めるため、最初は運動エネルギーがゼロですが、速度が増すにつれて運動エネルギーも大きくなるのです。

速度v = gtより、運動エネルギーは K = (1/2)m(gt)² = (1/2)mg²t² となります。つまり、運動エネルギーは時間の2乗に比例して増加していくでしょう。

時刻(秒) 速度(m/s) 運動エネルギー(相対値)
0 0 0
1 10 1
2 20 4
3 30 9

位置エネルギーと運動エネルギーの関係

続いては位置エネルギーと運動エネルギーの関係を確認していきます。

位置エネルギーとは

位置エネルギーとは、物体が高い位置にあることによって持つエネルギーのことです。地面からの高さをhとすると、質量mの物体の位置エネルギーUは U = mgh という式で表されます。

位置エネルギーは基準面(通常は地面)からの高さに比例します。高い位置にある物体ほど、大きな位置エネルギーを持つのです。

位置エネルギーは「その高さから落下したときに得られる運動エネルギーの最大値」とも考えられるでしょう。つまり、位置エネルギーは潜在的な運動エネルギーなのです。

エネルギーの変換

自由落下では、位置エネルギーが運動エネルギーに変換されていきます。物体が落下すると高さが減少するため位置エネルギーが減り、代わりに速度が増加して運動エネルギーが増えるのです。

高さhから落下した物体の速度をvとすると、失われた位置エネルギー mgh と得られた運動エネルギー (1/2)mv² が等しくなります。これがエネルギー保存の原理です。

落下前
位置E:大
運動E:0
落下中
位置E:中
運動E:中
地面直前
位置E:0
運動E:大
位置エネルギー → 運動エネルギーへ変換

エネルギー変換の定量的関係

高さh₀から落下を始めた物体が、高さhの位置を通過するときの速度をvとしましょう。エネルギー保存則より、次の関係が成り立ちます。

【エネルギー保存の式】

初めの位置エネルギー = 現在の位置エネルギー + 現在の運動エネルギー

mgh₀ = mgh + (1/2)mv²

整理すると:(1/2)mv² = mg(h₀ – h)

この式から、落下距離(h₀ – h)に比例して運動エネルギーが増加することがわかります。質量mは両辺に現れるため、約分できます。つまり、運動エネルギーの増加量は質量によらないのです。

力学的エネルギー保存則

続いては力学的エネルギー保存則を確認していきます。

力学的エネルギー保存則とは

力学的エネルギー保存則とは、位置エネルギーと運動エネルギーの和(力学的エネルギー)が一定に保たれるという法則です。摩擦や空気抵抗などがない理想的な状態では、この法則が成り立ちます。

力学的エネルギーE = K + U = (1/2)mv² + mgh = 一定

自由落下では、位置エネルギーが減少する分だけ運動エネルギーが増加するため、その和は常に一定値を保つのです。これはエネルギーが形を変えるだけで、総量は変わらないことを意味しているでしょう。

保存則を使った計算方法

力学的エネルギー保存則を使うと、運動方程式を解かずに速度や高さを求めることができます。これは非常に便利な方法です。

【例題】高さ20mから物体を自由落下させた。地面に到達する直前の速度を求めよ。(g = 10 m/s²)

【解答】

エネルギー保存則より:mgh₀ = (1/2)mv²

両辺をmで割ると:gh₀ = (1/2)v²

10 × 20 = (1/2)v²

v² = 400

v = 20 m/s

このように、質量mが計算に現れず、速度は高さと重力加速度だけで決まることがわかります。1kgの物体も100kgの物体も、同じ高さから落とせば同じ速度で地面に到達するのです。

エネルギー保存則が成り立つ条件

力学的エネルギー保存則が成り立つのは、保存力だけが働く場合に限られます。重力は保存力なので、自由落下ではエネルギー保存則が成り立つのです。

しかし、摩擦力や空気抵抗などの非保存力が働く場合、力学的エネルギーは減少します。これらの力によってエネルギーが熱などの他の形態に変換されるためです。

実際の落下では空気抵抗があるため、力学的エネルギーは完全には保存されません。しかし、低速・短距離の落下では、近似的に保存則が成り立つと考えられます。

条件 力学的エネルギー
保存力のみ 保存される 真空中の自由落下
非保存力あり 減少する 空気抵抗がある落下
外部から仕事 増加する ロケットの上昇

運動エネルギーと速度の関係

続いては運動エネルギーと速度の関係を確認していきます。

速度から運動エネルギーを求める

自由落下の速度v = gtを運動エネルギーの式に代入すると、K = (1/2)m(gt)² = (1/2)mg²t² となります。これは運動エネルギーが時間の2乗に比例することを示しています。

また、落下距離hを使って速度を表すと v² = 2gh なので、K = (1/2)mv² = (1/2)m(2gh) = mgh となります。これは失われた位置エネルギーと等しいことを確認できるでしょう。

【運動エネルギーの表し方】

時間tを使って:K = (1/2)mg²t²

速度vを使って:K = (1/2)mv²

落下距離hを使って:K = mgh

運動エネルギーから速度を求める

逆に、運動エネルギーがわかっている場合、速度を求めることもできます。K = (1/2)mv² より、v = √(2K/m) となるのです。

例えば、質量2kgの物体の運動エネルギーが100Jのとき、速度は v = √(2×100/2) = √100 = 10 m/s となります。

この関係式から、同じ運動エネルギーでも、質量が大きい物体ほど速度は小さいことがわかるでしょう。重い物体は、軽い物体と同じ速度に達するために、より大きなエネルギーを必要とするのです。

エネルギーと衝突の関係

落下する物体が地面に衝突するとき、運動エネルギーが他の形態のエネルギーに変換されます。主に変形エネルギーや熱エネルギー、音エネルギーに変わるのです。

衝突時の衝撃力は、運動エネルギーが大きいほど大きくなります。同じ高さから落ちても、重い物体の方が大きな衝撃を与えるのは、運動エネルギーが質量に比例するためでしょう。

安全工学では、落下物の運動エネルギーを計算して、必要な保護措置を決定します。例えば、ヘルメットの設計では、想定される落下物の運動エネルギーに耐えられる強度が求められるのです。

まとめ

自由落下における運動エネルギーは K = (1/2)mv² で表され、速度の2乗に比例します。物体が落下すると、位置エネルギーmghが運動エネルギーに変換され、力学的エネルギー保存則により両者の和は一定に保たれます。

エネルギー保存則を使えば、mgh = (1/2)mv² という関係から、質量によらず速度や高さを簡単に求められます。運動エネルギーは時間の2乗に比例して増加し、落下距離に比例します。

エネルギーの観点から運動を理解することで、運動方程式とは異なるアプローチで問題を解くことができ、物理現象への理解がより深まるでしょう。