採用選考に関するメールでは、「面接」という言葉をどのように敬語にすればよいか迷う場面があります。
応募者が企業へ連絡する場合と、企業側が候補者へ案内する場合では、自然な表現も異なります。
相手への敬意を示しながら、用件を明確に伝えるためには、尊敬語、謙譲語、丁寧語の役割を理解することが大切です。
この記事では、面接に関する適切な敬語、ビジネスメールの例文、場面ごとの言い換え表現を分かりやすく紹介します。
面接に関する敬語の基本整理

それではまず、面接に関する敬語の基本について解説していきます。
面接そのものに使う丁寧な表現
「面接」は名詞のため、単語自体を尊敬語や謙譲語に直接変える必要はありません。
文全体を丁寧に整えることが重要であり、「面接をお願いいたします」「面接の日程をご案内いたします」などが基本となります。
応募者が企業へ伝えるときは、「面接の機会をいただく」という表現が自然です。
企業側から候補者へ連絡する場合は、「面接にお越しいただく」「面接を実施する」とすると、案内として分かりやすくなります。
「面接」はそのまま使い、動詞や補助表現で敬意を表すことが基本です。
尊敬語と謙譲語の向き
尊敬語は相手の行為を高めて表す言葉であり、「お越しになる」「ご参加いただく」などが該当します。
一方で謙譲語は、自分側の行為をへりくだって表す言葉です。
応募者が「面接に伺います」と書く場合、「伺う」は自分が企業へ行く行為に使う謙譲語となります。
企業側が「面接に伺います」と候補者へ書くと、訪問面接などの事情がない限り不自然に受け取られる可能性があります。
採用活動で好印象につながる考え方
敬語の正しさだけでなく、読み手が迷わず行動できる内容にすることも大切です。
面接日時、場所、持ち物、返信期限を過不足なく示すと、採用担当者にも応募者にも親切なメールになります。
過度にへりくだる表現より、簡潔で誠実な文章のほうが、ビジネスメールでは信頼感につながるでしょう。
尊敬語・丁寧語・謙譲語の使い分け
続いては、面接の連絡で使う敬語の種類を確認していきます。
企業側の行為に使う尊敬語
応募者が採用担当者や面接官の行為に触れるときは、尊敬語を用います。
たとえば「面接していただく」「ご面接いただく」よりも、「面接の機会をいただく」「ご対応いただく」としたほうが自然です。
相手が日程を決める場合には、「面接日時をご指定いただけますと幸いです」と書けます。
ただし、相手の負担を強く前提にした依頼にならないよう、「ご都合のよい日時がございましたら」と配慮を添えるとよいでしょう。
自分の行為に使う謙譲語
応募者が面接会場へ行くことは、「伺う」「参る」で表現できます。
「当日は貴社へ伺います」「指定の日時に参ります」は、どちらも丁寧な言い方です。
書類を送る場合は「送付いたします」、質問をする場合は「お尋ねいたします」が適しています。
応募者からの例文です。
面接の機会をいただき、誠にありがとうございます。
ご指定いただいた日時に、貴社へ伺います。
文末に使う丁寧語
「です」「ます」「ございます」は丁寧語です。
敬語表現を入れていても、文末がくだけていると印象がちぐはぐになります。
「よろしくお願いします」でも意味は通じますが、採用選考では「何卒よろしくお願いいたします」とすると、より改まった印象になります。
同じ語尾が続くと単調になるため、「幸いです」「お願いいたします」「申し上げます」などを自然に使い分けましょう。
ビジネスメールでの面接表現一覧
続いては、ビジネスメールで使いやすい面接表現を確認していきます。
応募者から企業へ送る表現
| 伝えたい内容 | 適した表現 | 避けたい表現 |
|---|---|---|
| 面接への感謝 | 面接の機会をいただき、ありがとうございます | 面接してくれてありがとうございます |
| 会場への訪問 | 当日、貴社へ伺います | 当日、そちらに行きます |
| 日程の相談 | 面接日時についてご相談させていただけますでしょうか | 面接の日を変えてください |
| 返信 | ご連絡いただき、ありがとうございます | メールを見ました |
| 欠席の連絡 | 誠に恐縮ですが、面接を辞退させていただきたく存じます | 面接をやめます |
応募者は、企業に対して自分の都合だけを押し出さない姿勢が必要です。
感謝、要件、配慮、結びの順番を意識すると、短いメールでも読みやすくなります。
企業から応募者へ送る表現
| 伝えたい内容 | 適した表現 | ポイント |
|---|---|---|
| 面接の案内 | 面接の機会を設けさせていただきます | 選考の意図を明確にします |
| 日程の依頼 | ご都合をお聞かせいただけますと幸いです | 候補者への配慮を示します |
| 来社の依頼 | 当日は弊社までお越しください | 場所を具体的に示します |
| オンライン面接 | 指定のURLよりご参加ください | 接続時刻も案内します |
| 変更の連絡 | 面接日時を変更させていただきたく存じます | お詫びを添えます |
企業側は、候補者の予定を拘束する連絡になるため、日時や所要時間を明確に伝えることが欠かせません。
「ご来社ください」だけで終えず、受付場所や緊急連絡先も添えると安心感が生まれます。
誤用になりやすい表現
「ご面接させていただきます」は、一見丁寧に見えても、相手から許可を得て行う意味合いが強くなり、場面によっては不自然です。
企業側なら「面接を実施いたします」「面接を担当いたします」が分かりやすいでしょう。
また、「ご苦労さまです」は目上の人に対する挨拶としては適していません。
採用担当者へは「お世話になっております」または「お忙しいところ恐れ入ります」が無難です。
敬語は言葉を難しくするためのものではありません。
相手との立場を踏まえ、誤解なく気持ちよくやり取りするための配慮です。
面接日程の連絡例文
続いては、面接日程に関するメール例文を確認していきます。
面接案内への返信例文
件名 面接日時のご連絡ありがとうございます
株式会社〇〇
採用ご担当者様
お世話になっております。
このたびは面接の機会をいただき、誠にありがとうございます。
ご案内いただいた日時に、貴社へ伺います。
当日は何卒よろしくお願いいたします。
返信メールでは、面接日時を自分でも記載すると認識違いを防げます。
日時を改めて書く場合は、「〇月〇日午前〇時」のように見やすく示しましょう。
日程変更をお願いする例文
件名 面接日時のご相談
株式会社〇〇
採用ご担当者様
お世話になっております。
面接日時をご案内いただき、ありがとうございます。
誠に恐縮ではございますが、やむを得ない事情により、指定日時に伺うことが難しい状況です。
可能でしたら、別日程をご相談させていただけますでしょうか。
ご多忙のところ恐れ入りますが、何卒よろしくお願いいたします。
変更依頼では、連絡をできるだけ早く行うことが最優先です。
理由は詳細に書きすぎず、「やむを得ない事情により」とまとめても失礼にはなりません。
面接辞退を伝える例文
辞退の連絡は気まずく感じられますが、無断欠席は避けるべきです。
決断した時点で、感謝とお詫びを添えて連絡しましょう。
このたびは面接の機会をいただき、誠にありがとうございました。
慎重に検討いたしました結果、誠に勝手ながら、今回の選考を辞退させていただきたく存じます。
お時間をいただいたにもかかわらず申し訳ございません。
貴社のますますのご発展をお祈り申し上げます。
面接に使える言い換え表現
続いては、面接という言葉の言い換え表現を確認していきます。
選考場面での言い換え
| 表現 | 使いやすい場面 | ニュアンス |
|---|---|---|
| 選考 | 採用の全体工程 | 書類審査や適性検査も含みます |
| 採用面談 | カジュアルな採用活動 | 相互理解を重視する印象です |
| 面談 | 情報交換や一次的な対話 | 評価の印象を弱められます |
| 選考面談 | 評価を伴う面談 | 面談と選考の性質を両立します |
| 最終選考 | 採用工程の終盤 | 役員面接などにも使われます |
「面談」と「面接」は完全な同義語ではありません。
面談は相互理解を目的とする場合も多いため、実際に選考評価があるなら、その事実を曖昧にしないことが重要です。
応募者の行動に関する言い換え
応募者が「面接を受ける」と書くこと自体は間違いではありません。
より丁寧にするなら、「面接の機会をいただく」「選考に参加させていただく」「面接に臨む」などが使えます。
ただし、「参加させていただく」を何度も繰り返すと重くなるため、文脈に応じて使い分けると自然です。
企業の案内に関する言い換え
企業側では、「面接を実施する」「選考の機会を設ける」「お話を伺う」などが候補になります。
職務経験や人物像を深く確認する場では、「面接を実施いたします」が最も明確でしょう。
気軽な説明の機会なら、「カジュアル面談をご案内いたします」とすると、候補者も参加の目的を理解しやすくなります。
言い換えは印象を整える手段ですが、選考の目的までぼかさないことが大切です。
面接敬語のまとめ
面接に関する敬語では、「面接」という名詞を無理に変えるより、誰の行為かに合わせて動詞を選ぶことが基本です。
応募者は「面接の機会をいただく」「貴社へ伺う」を使い、企業側は「お越しいただく」「面接を実施する」とすると、立場に合った文章になります。
敬意、分かりやすさ、迅速な連絡を意識すれば、ビジネスメールはより好印象になります。
面接日程の確認や変更、辞退の連絡では、感謝とお詫びを添えたうえで、要件を簡潔に伝えましょう。
言い換え表現も活用しながら、相手が安心して読み進められる丁寧なメールを作成してください。