「まとめる」は、情報を整理する場面から意見を集約する場面、契約を成立させる場面まで、ビジネスで幅広く使われる言葉です。
便利な反面、相手や状況に合わない表現を選ぶと、やや曖昧に聞こえたり、指示が強く伝わったりすることもあります。
メール、会議、報告書、上司や目上の方への連絡などで使い分けられるよう、意味の違いと自然な敬語表現を確認していきましょう。
「まとめる」の言い換え一覧表

それではまず「まとめる」の言い換え一覧表について解説していきます。
情報整理に使う表現
資料や数字、複数の意見を見やすい形に整える場合は、整理する、取りまとめる、集約する、体系化するなどが使えます。
単に集めるだけではなく、分類や優先順位付けまで行うなら、整理するや体系化するが適しています。
| 言い換え | 主な意味 | 使いやすい場面 | 例文 |
|---|---|---|---|
| 整理する | 情報を分かりやすく整えること | 資料、データ、課題 | いただいたご意見を整理して共有いたします。 |
| 取りまとめる | 複数の内容を集めて一つにすること | 回答、申請、会議資料 | 各部署からの回答を取りまとめます。 |
| 集約する | 散らばったものを一か所に集めること | 意見、機能、窓口 | お問い合わせ窓口を一つに集約しました。 |
| 体系化する | 一定のルールで構造的に整えること | 業務知識、手順、研修 | ノウハウを体系化し、研修資料へ反映します。 |
| 分類する | 基準に従って分けること | 顧客情報、要望、在庫 | ご要望を内容別に分類いたしました。 |
| 編集する | 内容を選び、構成を整えること | 報告書、広報物、原稿 | 原稿を編集し、読みやすい構成に整えます。 |
「資料をまとめる」と書くよりも、何をするのかを具体化すると、依頼内容が相手に伝わりやすくなります。
意見調整に使う表現
会議で意見を一つの方向へ導く場合は、意見を集約する、合意を形成する、調整する、方向性を定めるといった表現が自然です。
特に利害関係者が多い案件では、「まとめる」だけでは作業内容が見えにくいため、調整や合意形成という語を選ぶとよいでしょう。
| 言い換え | ニュアンス | 相手への伝わり方 | 例文 |
|---|---|---|---|
| 意見を集約する | 複数の考えを一つの案へ寄せる | 客観的で事務的 | 本日の議論を踏まえ、意見を集約いたします。 |
| 調整する | 条件や日程のずれを整える | 実務的で柔らかい | 関係部署と日程を調整いたします。 |
| 合意を形成する | 関係者の納得を得る | 慎重で正式な印象 | 十分に協議し、合意形成を進めます。 |
| 方向性を定める | 今後の進め方を決める | 判断の段階が明確 | 次回までに基本方針の方向性を定めます。 |
| 折り合いをつける | 対立する条件を調和させる | やや口語的で親しみやすい | 双方の条件に折り合いをつける必要があります。 |
意見を「まとめる」ときは、結論を急ぐ意味なのか、関係者の意向を調整する意味なのかを分けて表現することが大切です。
契約や結論に使う表現
商談や企画を最終段階へ進める意味では、成立させる、締結する、決定する、結論を出すなどが候補になります。
契約に関して「話をまとめる」と言うことはありますが、正式な文書では契約を締結するのように、対象を明示する表現が適切です。
口頭での表現例
来週中を目途に条件を調整し、契約を締結できるよう進めます。
会議での表現例
本日の論点を整理したうえで、次回までに最終案を決定します。
相手に行動を求めるメールでは、「話をまとめましょう」よりも「条件を確認のうえ、最終案を決定できればと存じます」と書くと、丁寧で具体的な印象になります。
場面別の丁寧な言い換え
続いては場面別の丁寧な言い換えを確認していきます。
メール連絡の表現
メールでは、相手が何を確認すればよいのかが分かる表現を選ぶことが重要です。
「内容をまとめました」だけでは、収集したのか、編集したのか、結論を出したのかが判然としない場合があります。
内容を整理いたしました、ご意見を取りまとめました、要点を集約いたしましたなど、成果物の性質に合わせましょう。
| 伝えたい内容 | 丁寧なメール表現 |
|---|---|
| 資料を見やすくした | 資料を整理し、確認しやすい形にいたしました。 |
| 回答を集めた | 各担当者からの回答を取りまとめました。 |
| 会議内容を記録した | 会議の要点を整理し、議事内容として共有いたします。 |
| 案を一つに絞った | 皆様のご意見を踏まえ、提案内容を集約いたしました。 |
| 結論を確認したい | 認識を整理したく、下記の内容をご確認いただけますでしょうか。 |
依頼文では、「まとめてください」より「要点を整理のうえ、ご共有いただけますでしょうか」とすると、穏やかで実務的な依頼になります。
上司と目上の方への表現
上司や目上の方に対しては、相手の判断や意見を尊重する姿勢が伝わる言葉を添えることが大切です。
「私がまとめます」と断定するより、「ご意見を踏まえて取りまとめます」とすると、独断で進める印象を避けられます。
特に会議後の連絡では、ご指示の内容を整理いたします、ご意見を反映して案を取りまとめます、といった表現が役立ちます。
上司へのメール例
本日はご指導いただき、ありがとうございました。
いただいたご意見を踏まえ、修正点を整理したうえで改めてご報告いたします。
「まとめさせていただきます」は誤りではありませんが、毎回使うとくどく見えることがあります。
自分が担当する業務なら「取りまとめます」や「整理いたします」で十分に丁寧でしょう。
部下と社内メンバーへの表現
部下や同僚への依頼では、目的と期限を添えることで、言い方が簡潔でも冷たい印象を抑えられます。
「この件をまとめてください」では範囲が不明確なので、資料、論点、回答、次の対応などを指定するのがおすすめです。
要点を整理してください、意見を取りまとめてもらえますか、対応案を集約してください、という表現が使えます。
社内の依頼は敬語の強さより、作業範囲と完成イメージの明確さが重要です。
誰の意見を集めるのか、どの形式で共有するのか、いつまでに必要なのかを一緒に示しましょう。
たとえば「金曜日までに各チームの意見を取りまとめ、論点別の一覧にしてください」と書けば、依頼された側も着手しやすくなります。
敬語表現と使い分け
続いては敬語表現と使い分けを確認していきます。
謙譲語による表現
自分が行う作業をへりくだって伝える場合は、「取りまとめます」を「取りまとめいたします」にすると自然です。
「整理いたします」「集約いたします」「ご報告いたします」も、メールや口頭報告で幅広く使えます。
ただし、いたしますを重ねすぎると文章が単調になりやすいため、文全体の流れを見ながら調整しましょう。
| 基本表現 | 丁寧な表現 | 使用例 |
|---|---|---|
| まとめる | 取りまとめいたします | ご回答を取りまとめいたします。 |
| 整理する | 整理いたします | 論点を整理いたします。 |
| 集める | 集約いたします | 情報を集約いたします。 |
| 決める | 決定いたします | 確認後に正式決定いたします。 |
社外の相手に対しては、誰の意見や何の資料を扱うのかを補うと、より誠実な文面になります。
尊敬語を用いる場面
相手が情報や意見をまとめる場合は、尊敬語を使って表現します。
「部長が意見をまとめる」は、「部長がご意見を取りまとめられる」と言い換えられます。
ただし、過度な敬語は不自然になりやすいため、社内の会話では「部長にご判断いただく」「皆様にご確認いただく」程度でも十分です。
自然な表現例
部長に最終案をご確認いただいた後、全体へ共有いたします。
皆様からいただいたご意見をもとに、事務局で内容を整理いたします。
尊敬語は相手の行為に使い、自分の行為には使わないという基本を守ると、敬語の誤用を防げます。
二重敬語を避ける工夫
「お取りまとめになられる」や「ご確認していただく」は、敬語が重なって不自然に聞こえることがあります。
「お取りまとめになる」「ご確認いただく」のように、一つの敬意表現に整えるのが基本です。
丁寧さは言葉を足すことではなく、相手に負担なく意味を伝えることだと考えると、自然な表現を選びやすくなります。
迷ったときは、主語が自分なら「いたします」、相手なら「いただく」や「なさる」を軸に見直すとよいでしょう。
同義語と類義語の意味の違い
続いては同義語と類義語の意味の違いを確認していきます。
取りまとめると整理するの違い
取りまとめるは、複数の人や複数の資料から集まった内容を一つにする意味が中心です。
一方で整理するは、情報の順番、分類、不要な部分の削除などを通じて、理解しやすく整える意味を持ちます。
アンケート結果を集める段階なら取りまとめる、その結果を項目別に見せる段階なら整理する、という使い分けが分かりやすいでしょう。
報告書では「回答を取りまとめ、傾向を整理しました」と続けると、作業の流れも明確になります。
集約すると統合するの違い
集約するは、分散している情報や機能、窓口などを集中させる意味で使われます。
統合するは、別々の組織や制度、システムなどを一体化させる場合に適した言葉です。
たとえば、問い合わせ先を一つにするなら「窓口を集約する」、複数のシステムを一つの基盤へ移すなら「システムを統合する」と表現します。
集約は集めて集中させること、統合は別のものを一体化させることに重点があります。
規模の大きい業務改善や組織変更では、この違いを意識すると説明の精度が高まります。
要約すると総括するの違い
要約するは、長い文章や発言から重要な部分を抜き出して短くすることです。
総括するは、一定期間や一連の取り組み全体を振り返り、評価や課題を含めてまとめることを指します。
会議録の内容を短くするなら要約、四半期の成果と反省を述べるなら総括が向いています。
「会議内容を要約し、今期の取り組みを総括する」のように、両方を使い分ける場面も少なくありません。
メールと会議で役立つ例文
続いてはメールと会議で役立つ例文を確認していきます。
資料共有の例文
資料を送る際は、何をどのようにまとめたのかを短く示すと、受け取る側が確認しやすくなります。
「各部署からの報告内容を取りまとめ、論点別に整理した資料を添付いたします。」という文面は、社内外を問わず使いやすい表現です。
さらに確認してほしい箇所があるなら、「恐れ入りますが、対応方針についてご確認をお願いいたします」と続けるとよいでしょう。
会議進行の例文
会議で話題を整理する際には、「ここまでのご意見を整理します」と一度区切る表現が役立ちます。
その後、「現時点では二つの案があり、費用と導入時期が主な論点です」と具体化すれば、参加者の認識をそろえられます。
結論に進む場面では、「本日のご意見を踏まえ、事務局で案を集約し、次回に最終案をご提示します」と伝えると、次の行動が明確になります。
論点を整理する言葉は、会議の脱線を防ぎ、参加者に安心感を与える役割も持っています。
依頼とお礼の例文
他者に作業を依頼する場合は、依頼の背景と必要なアウトプットを添えましょう。
「お手数をおかけしますが、各案件の進捗を取りまとめ、明日正午までに共有いただけますでしょうか。」という表現なら、丁寧さと具体性の両方を保てます。
お礼では、「早速ご意見を取りまとめていただき、ありがとうございます。」が自然です。
相手が時間をかけて調整してくれた場合には、「関係者との調整までご対応いただき、心より感謝申し上げます」と、作業の内容に触れると気持ちが伝わります。
「まとめる」の言い換えのまとめ
「まとめる」の言い換えは、情報を整えるなら整理する、複数の回答を集めるなら取りまとめる、意見を一つの方向へ寄せるなら集約する、契約を成立させるなら締結するというように、目的で選ぶことが大切です。
メールでは何をどう扱ったのかが分かる言葉を使うと、文章が具体的で信頼されやすくなります。
上司や目上の方には「ご意見を踏まえて取りまとめます」、部下や同僚には「論点別に整理してください」のように、相手との関係と作業内容に応じて表現を整えましょう。
曖昧な「まとめる」を適切な類義語へ置き換えることは、ビジネスコミュニケーションの行き違いを減らす小さくても重要な工夫です。