「並行して」は、複数の仕事や対応を同時に進める場面で便利な言葉です。
ただし、相手との関係やメールの目的によっては、少し直接的に聞こえたり、何をどの程度同時に行うのかが伝わりにくかったりすることもあります。
上司や目上の方へ報告する場合、取引先へ依頼する場合、部下へ指示する場合では、適した表現が異なります。
状況に応じて言い換えを選ぶことが、誤解を減らし、仕事の進み具合をわかりやすく伝えるポイントです。
この記事では、「並行して」の意味、丁寧な言い換え、敬語表現、メールでの使い方を具体例とともに紹介します。
「並行して」の言い換え一覧表とシーン別の使い分け

それではまず、「並行して」の言い換えについて解説していきます。
「並行して」は便利な一方で、同じ表現が続くと文章が単調になりがちです。
仕事の関係性、作業の優先度、相手に求める行動を考えながら選ぶと、自然で配慮のある文面になります。
汎用的に使いやすい言い換え表現
社内外を問わず使いやすい表現には、「同時に進める」「あわせて進める」「併せて対応する」などがあります。
「並行して」よりも具体的な印象になり、業務の流れを相手が想像しやすくなるでしょう。
| 言い換え | ニュアンス | 使用しやすい場面 | 例文 |
|---|---|---|---|
| 同時に進める | 複数の業務を同じ時期に行う | 進捗報告、社内連絡 | 資料作成と関係部署への確認を同時に進めます。 |
| あわせて進める | 関連する作業も一緒に扱う | 依頼、提案、説明 | 契約内容の確認と、運用開始日の調整をあわせて進めます。 |
| 併せて対応する | 複数事項に対応する丁寧な表現 | 取引先へのメール | ご質問への回答と修正版の送付を併せて対応いたします。 |
| 並行して進行する | やや硬めで計画的な印象 | 会議資料、報告書 | 現在、設計工程と調達工程が並行して進行しております。 |
| 同時並行で進める | 速度感や複数案件を強調する | プロジェクト管理 | 複数の確認事項を同時並行で進めております。 |
| 並行して取り組む | 継続して努力する印象 | 改善活動、目標共有 | 品質向上と納期短縮に並行して取り組みます。 |
| 併行して検討する | 複数案を比較しながら考える | 企画、意思決定 | 費用面と運用面を併行して検討いたします。 |
| 一体的に進める | 別作業を連携させる印象 | 部署横断の業務 | 営業とサポートが一体的に進める体制を整えます。 |
「あわせて」には漢字の「併せて」もありますが、ひらがな表記はやわらかく読みやすい印象です。
対外メールでは、文面全体の表記をそろえることも大切でしょう。
上司や目上の方に使いやすい丁寧な言い換え表現
上司や目上の方に対しては、単に同時進行を伝えるだけでなく、確認や配慮の姿勢が見える表現を選びます。
「進めさせていただく」は便利ですが、相手の許可を得て行う意味合いが強いため、使いすぎには注意が必要です。
| 言い換え | 適した相手 | 伝わる印象 | 例文 |
|---|---|---|---|
| 併せて確認いたします | 上司、取引先 | 慎重で丁寧 | ご指示の内容と関連資料を併せて確認いたします。 |
| あわせて対応いたします | 上司、顧客 | 前向きで自然 | ご指摘の点について、修正作業もあわせて対応いたします。 |
| 並行して進めてまいります | 上司、役員 | 継続的で誠実 | 関係者との調整を並行して進めてまいります。 |
| 同時に確認を進めます | 上司、社内関係者 | 端的でわかりやすい | 原因調査と再発防止策の検討を同時に進めます。 |
| 関連事項も含めて対応いたします | 目上、取引先 | 範囲への配慮 | ご依頼事項に加え、関連事項も含めて対応いたします。 |
| 状況を確認しながら進めてまいります | 上司、顧客 | 慎重で柔軟 | 各部署の状況を確認しながら進めてまいります。 |
| 優先順位を踏まえて進めます | 上司 | 判断力がある | 緊急度を踏まえ、他案件と並行して進めます。 |
| ご確認をいただきつつ進めます | 上司、決裁者 | 合意を重視 | 途中でご確認をいただきつつ、準備を進めます。 |
目上の方へ伝える際は、「並行して進めます」だけで終わらせず、何と何を進めるのかを補うと親切です。
「見積書の作成と社内承認の確認を並行して進めてまいります」のように、対象を明示すると報告の質が高まります。
部下や同僚への指示に使いやすい言い換え表現
部下や同僚に依頼する場面では、敬語の強さよりも、作業の順番や期限がわかる表現を意識します。
「並行してお願いします」だけでは、優先順位が不明確になる場合があります。
| 言い換え | 向いている状況 | 依頼文の例 |
|---|---|---|
| 同時に進めてください | 作業の優先度が同程度 | データ入力と内容確認を同時に進めてください。 |
| 手分けして進めましょう | 複数人で担当を分ける | 資料収集と原稿確認を手分けして進めましょう。 |
| 関連作業も進めてください | 主業務に付随する仕事がある | 見積作成に加えて、必要書類の準備も進めてください。 |
| 優先順位を確認しながら進めてください | 緊急案件が混在する | 問い合わせ対応の状況を見ながら、更新作業を進めてください。 |
| 二つの作業を並行して進めましょう | 対象を明確にしたい | 顧客への連絡と社内調整を並行して進めましょう。 |
| 進捗を共有しながら対応してください | 途中確認が必要 | 進捗を共有しながら、調査と報告書作成を進めてください。 |
部下への指示では、同時に行う業務と優先する業務を分けて伝えることが重要です。
「午前中は問い合わせ対応を優先し、空いた時間で資料の更新を進めてください」と具体化すれば、迷いを抑えられます。
「並行して」の意味と基本的な使い方
続いては、「並行して」の意味と使い方を確認していきます。
言葉の意味を正しく捉えると、適切な類義語を選びやすくなります。
複数の物事を同じ期間に進める意味
「並行して」とは、二つ以上の物事を同じ時期に、互いに進めていくことを表す言葉です。
本来の「並行」は、二本の線が交わらずに同じ方向へ延びる状態を指します。
そこから転じて、仕事や計画などを別々に進行させながら、全体として前へ進める意味で使われます。
「商品案を検討しながら、販売ページの制作を並行して進める」の場合、検討と制作の二つが同じ期間に動いている状態を示します。
どちらか一方が終わってから始めるのではなく、重なり合う期間があることが特徴です。
ただし、完全に同じ瞬間に作業する意味とは限りません。
一日の中で時間を分けて対応する場合でも、同じプロジェクト期間内で複数業務を進めるなら「並行して」と表現できます。
「並行」と「並行して」の品詞的な違い
「並行」は名詞として使われる語で、「並行して」は副詞的に使われる形です。
文章内で動詞を修飾する場合には、「並行して進める」「並行して確認する」のような形が自然でしょう。
一方で、「二つの施策は並行で実施する」と書くと、会話では通じてもやや省略的に見えることがあります。
社外文書や正式なメールでは、「並行して実施する」または「並行して進める」とすると、文法面でも読みやすさの面でも安定します。
「並行」は状態や方針を示し、「並行して」は具体的な行動を示す表現と考えると使い分けやすくなります。
「並行」と「平行」の使い分け
「並行」と「平行」は、どちらも「へいこう」と読みますが、一般的なビジネス文書では意味の違いを意識したいところです。
「平行」は、直線や面などが交わらない幾何学的な関係を表すことが中心です。
「並行」は、複数の仕事、計画、路線、制度などが同時に進むことを表します。
| 表記 | 主な意味 | 使用例 |
|---|---|---|
| 並行 | 複数の業務や計画を同時に進める | 新規企画と既存事業の改善を並行して進める。 |
| 平行 | 線や方向が交わらない状態 | 二本の線を平行に引く。 |
| 平行 | 比喩的に同じ方向へ進むこと | 両社は平行線をたどっている。 |
業務の同時進行を伝えたいなら、基本的には「並行して」を使うとよいでしょう。
細かな表記の選択ですが、正しい漢字を用いることで、文書への信頼感にもつながります。
ビジネスメールで使える丁寧な言い換え
続いては、ビジネスメールで使える丁寧な表現を確認していきます。
メールでは、作業状況を示すだけでなく、相手を待たせない姿勢や対応範囲を伝えることが求められます。
依頼メールでの表現
取引先へ何かを依頼する場合、「並行してご対応ください」と書くと、相手に複数の負担を一度に求める印象を与えることがあります。
相手の都合への配慮を添え、期限や優先度を示すと丁寧です。
ご多用のところ恐縮ですが、資料のご確認とご回答をあわせてお願いできますでしょうか。
難しい場合は、まずご確認可能な項目のみご連絡いただけますと幸いです。
「あわせてお願いできますでしょうか」は、複数の依頼を穏やかに伝えられる表現です。
ただし、急ぎの場合でも一方的な印象にならないよう、「恐れ入りますが」「可能でしたら」などを加えるとよいでしょう。
進捗報告メールでの表現
進捗を報告する際には、何が完了し、何を同時に進めているのかを分けて書くことが大切です。
「並行して進めています」だけでは、相手が現在地を把握しにくい場合があります。
仕様の確認は完了しております。
現在は、見積書の作成と納期の調整を並行して進めております。
調整結果につきましては、明日中に改めてご連絡いたします。
このように、完了事項、進行中の事項、次回連絡の予定を並べると、報告内容が整理されます。
同時進行の内容を具体的な名詞で示すことが、簡潔で信頼される進捗報告につながります。
謝罪や遅延連絡での表現
納期の遅れや確認不足が生じた際は、「並行して対応しています」とだけ述べても、相手の不安を十分に解消できないことがあります。
原因への対応と、今後の予定を区別して記載しましょう。
たとえば、「原因を確認するとともに、修正版の作成を進めております」と表現できます。
「とともに」は「並行して」の丁寧な言い換えとして使えますが、二つの行為の結び付きが強い場合に特に自然です。
お詫びのメールでは、対応中である事実に加え、いつまでに何を連絡するのかを明記することが重要です。
「現在確認しております」よりも、「本日中に原因を確認し、明日午前までに対応方針をご報告いたします」と書くほうが、相手は判断しやすくなります。
敬語表現と相手別の伝え方
続いては、敬語表現と相手別の伝え方を確認していきます。
「並行して」という語自体は敬語ではありませんが、後ろに続く動詞によって丁寧さを調整できます。
上司へ報告する場合の表現
上司への報告では、現在の行動と今後の見通しを簡潔に伝えることが基本です。
「並行して進めております」「あわせて確認いたします」「調整を進めてまいります」などが使えます。
「いたします」は自分の行為をへりくだって表す謙譲語です。
一方で、社内の近い上司に対して毎文「させていただきます」を使うと、かえって回りくどく感じられることもあります。
許可を得る場面以外では、「進めます」「確認いたします」を自然に使い分けることが望ましいでしょう。
取引先や顧客へ伝える場合の表現
取引先や顧客には、丁寧さに加えて、相手の要望を正確に受け止める姿勢が必要です。
「ご要望の確認と社内調整を併せて対応いたします」「関係部署とも連携しながら進めてまいります」といった表現が向いています。
| 場面 | おすすめの表現 | 避けたい印象 |
|---|---|---|
| 問い合わせへの返信 | 確認のうえ、関連部署とも調整いたします。 | 対応内容が曖昧 |
| 納期の相談 | 製造状況を確認しながら、納期を調整してまいります。 | 一方的な約束 |
| 追加依頼への回答 | 既存のご依頼とあわせて対応可能か確認いたします。 | 即答できない事情の説明不足 |
| 資料送付の連絡 | 資料をお送りするとともに、補足事項をご案内いたします。 | 情報が散らばる印象 |
相手が社外の場合は、「社内で並行して進めます」よりも、相手に関係する行動を主語として伝える表現が好まれます。
「確認後にご連絡いたします」といった着地点も添えると、さらに安心感が生まれます。
部下や後輩へ伝える場合の表現
部下や後輩には、丁寧な言葉を選びながらも、曖昧さを残さないことが重要です。
「二つを並行して進めてください」より、「顧客対応を優先しつつ、空いた時間で資料を更新してください」としたほうが、行動に移しやすくなります。
業務量が多い場合は、期限を二つ設定するのではなく、優先順位を示しましょう。
部下への依頼では、同時進行を求める理由も短く伝えると納得感が高まります。
「先方の回答待ちの時間を有効に使うため、その間に見積書の下書きを進めてください」のように説明すると、目的が共有できます。
類義語と同義語のニュアンス比較
続いては、「並行して」と近い意味を持つ言葉のニュアンスを確認していきます。
似た言葉でも、作業の関係や文章の硬さが異なります。
「同時に」との違い
「同時に」は、複数の出来事が同じタイミングで起こることを広く表せる言葉です。
「並行して」よりも時間的な重なりに焦点があり、短時間の出来事にも使えます。
たとえば、「会議開始と同時に資料を配布する」は自然ですが、「会議開始と並行して資料を配布する」では少し大げさに聞こえるでしょう。
一方、数日から数か月にわたる業務には、「並行して進める」のほうが適しています。
瞬間的な重なりには「同時に」、継続する複数業務には「並行して」という区別が目安です。
「併せて」との違い
「併せて」は、複数の内容を一緒に扱うことを表します。
時間的に完全な同時進行でなくても使えるため、依頼や案内のメールで重宝します。
「申込書をご提出ください。併せて、本人確認書類もお送りください」のように、関連する複数の依頼をまとめる場面に向いています。
対して「並行して」は、作業工程や進行状況を説明する場面により適した表現です。
どちらを選ぶか迷ったら、作業の進み方を伝えたいのか、複数項目を一緒に扱いたいのかを考えるとよいでしょう。
「連携して」と「同時並行で」の違い
「連携して」は、複数の人や部署が情報を共有し、協力して行動することを意味します。
時間の重なりではなく、協力関係に重点がある言葉です。
「営業部と開発部が連携して対応する」は自然ですが、両部署が別々に作業しているだけなら「並行して」のほうが正確な場合もあります。
「同時並行で」は、複数の案件を積極的に進める勢いを表せます。
ただし、会話的で少し強い印象もあるため、格式を重視する案内文では「並行して」や「併せて」を選ぶと落ち着きます。
| 表現 | 重点となる要素 | 適した例 |
|---|---|---|
| 並行して | 継続する複数の進行 | 設計と調達を並行して進める。 |
| 同時に | 同じタイミング | 通知と同時に内容を確認する。 |
| 併せて | 関連事項を一緒に扱う | 申請書と証明書を併せて提出する。 |
| 連携して | 人や部署の協力 | 関係部署と連携して改善する。 |
| 同時並行で | 複数案件の積極的な推進 | 複数施策を同時並行で進める。 |
自然で伝わりやすいメール例文
続いては、自然で伝わりやすいメール例文を確認していきます。
そのまま使うのではなく、相手の名前、案件名、期限に置き換えて活用してください。
上司への進捗報告例文
件名 新規提案資料の進捗について
お疲れさまです。
新規提案資料につきまして、構成案の作成を完了いたしました。
現在は、数値データの確認とデザイン案の調整を並行して進めております。
明日の午前中までに初稿を共有いたしますので、ご確認いただけますと幸いです。
この例文では、完了した内容、現在対応している内容、次の予定が整理されています。
報告メールは「何を並行しているか」を具体化するほど、上司が判断しやすくなります。
取引先への対応連絡例文
件名 ご依頼内容の確認について
いつもお世話になっております。
このたびはご連絡をいただき、ありがとうございます。
ご依頼いただいた内容について、仕様の確認と担当部署との調整を併せて進めております。
対応可否および納期の見込みが確認でき次第、改めてご連絡いたします。
お待たせして恐縮ですが、何卒よろしくお願いいたします。
「併せて進めております」は、社内で複数の確認が必要な場合に使いやすい表現です。
相手に待機をお願いする状況では、次の連絡時期を添えることが望ましいでしょう。
部下への業務依頼例文
お疲れさまです。
本日の午後は、顧客からの問い合わせ対応を優先してください。
回答待ちの時間には、来週の会議資料の更新も進めてもらえると助かります。
二つの業務を進めるなかで判断に迷う場合は、問い合わせ対応を優先し、資料更新の進捗を夕方に共有してください。
このように、優先順位と報告のタイミングを示せば、同時進行の依頼でも負担感や迷いを減らせます。
メールでは「並行して」という一語に頼らず、対象業務、優先順位、期限、次の報告予定を組み合わせることが大切です。
相手が次に何をすればよいかをすぐ理解できる文面を目指しましょう。
まとめ
「並行して」は、複数の仕事や計画を同じ期間に進めることを表す言葉です。
ビジネスシーンでは、「同時に進める」「あわせて対応する」「併せて確認する」「連携しながら進める」など、目的に合った言い換えが役立ちます。
上司や目上の方には、対象となる作業と今後の見通しを明確にしながら、「進めてまいります」「確認いたします」と丁寧に伝えましょう。
取引先には、相手を待たせる期間や対応範囲への配慮を添えることが重要です。
部下や同僚には、同時に進める業務だけでなく、優先順位と期限を具体的に共有することが欠かせません。
「並行して」を適切な同義語や類義語に置き換えれば、メールや会話の印象はより自然で伝わりやすくなります。